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加藤勝信 ·自由民主党・無所属の会

衆議院憲法審査会(2026-06-18)での発言

第221回国会 ·第第10号号 ·1,799字
○加藤(勝)委員 自由民主党の加藤でございます。  九条改正を議論する前提として、我が国が安全保障環境の変化に対応する形で何がどこまでできるのか、先ほど新藤幹事からもお話がありましたが、憲法上、法律上の観点から改めて整理をしたいと思っております。  憲法九条解釈の基本は、昭和三十四年の砂川事件最高裁判決であります。朝鮮戦争を契機とした警察予備隊、その後の保安隊を経て、昭和二十九年に自衛隊が設置され、戦力不保持を定める九条二項との関係が問題となっておりました。この点に関し、最高裁は、「わが国が、自国の平和と安全を維持しその存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能の行使として当然のこと」と明確に判示しております。  この砂川事件判決や国会での議論を基に政府の九条解釈を体系的に整理したのが、いわゆる昭和四十七年見解であります。  同見解では、九条と前文及び十三条との整合的解釈の結果として、憲法は我が国が必要な自衛の措置を取ることを禁止していないが、だからといって、平和主義をその基本原則とする憲法が自衛の措置を無制限に認めているわけではなく、当該措置は、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫不正の事態を排除するために必要最小限の範囲にとどまるという基本的な論理が示されました。この基本的な論理を踏まえ、自衛の措置は我が国に対する急迫不正の侵害に対処する場合に限られ、集団的自衛権の行使は憲法上許されないとされたところであります。  この見解を前提としつつも我が国の安全保障政策を大きく転換したのが、平成二十六年七月一日の閣議決定と、それに続く平和安全法制の整備であります。  閣議決定では、パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威等により我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けているとの認識を示した上で、我が国に対する直接の武力攻撃が発生していなくとも、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合にも自衛の措置として武力を行使することができるとしました。すなわち、個別的自衛権を超えて、自国防衛のための限定的な集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈の変更がなされました。  この解釈変更は、昭和四十七年見解の基本的な論理についてはあくまでもこれを踏襲しつつ、同見解において集団的自衛権の行使は憲法上許されないとされた当時の国際情勢や兵器技術の状況に当てはめた結果の部分のみについて、現下の国際情勢や兵器技術の急速な革新に鑑みて見直しをしたものであり、九条解釈の基本姿勢は砂川事件判決の考え方と軌を一にするものであります。  この閣議決定に基づき制定された平和安全法制では、存立危機事態にも武力行使を可能とするとともに、周辺事態法を重要影響事態法に改正して後方支援活動などを拡充し、また、外国の緊急事態における邦人の保護措置などが整備をされたところであります。  現況において、平和安全法制の整備などにより、我が国では、国の存立や国民の生命財産を守るために必要な、切れ目のない国防体系は完成していると言えます。憲法九条から導かれる専守防衛の下で、自国防衛のための措置は必要かつ十分に行うことができるようになっております。我が国ができないことは、自国防衛と直接に関係しない純粋な国際協力の場面での武力行使などに限られております。  以上を前提に、自民党では、誰がどのような手段で国を守るのかという規定が憲法にないとの観点から、国と国民を守るという国の責務に関する国防規定の創設と、その担い手である自衛隊の明記を主張しているところであります。  現行憲法は、施行から八十年近くが経過し、その間、一度も改正することがありませんでした。しかしながら、憲法は国の基本法である以上、時代状況や国民の意識の変化に応じて議論され、必要があれば改正されていくものだと考えております。各党会派におかれても、こうした認識を共有しながら九条についても論点の整理を行っていただくよう、会長、幹事の皆様にもお願いを申し上げて、発言を終わらせていただきます。

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